2011年7月4日月曜日

破壊される生活・明らかになった内部被曝・福島「暫定基準」の撤廃を

ビデオニュースドットコムの無料部分、6月25日放送分
藍原寛子氏が福島現地で震災後に自殺者が4月に5割増加しているという報告をしています。相馬市の酪農家が「原発さえなければ」と書き置きして自殺した件を調査、自家牧草を与えられないため、汚染していない飼料を購入しなければならず、農業関係補償が遅れているため毎日現金が流出し、さらに入手も困難、妻子が帰郷して孤独だったことなど、複合的な要因においつめられた結果だという。その他にも震災で修理依頼に追われ、部材が入手できなかったりで手がつけられなかった瓦職人が二人相次いで自殺していたり、普段なら問題にならないことが心理的な不安定さが広がっているため自殺につながるという要因も指摘されている。
 また、「原発離婚・原発家庭内不和」が広がっているという報告もあります。これはまったく他人事ではなくて、東葛地域でも東京でも良く聞くのですが、実際子どもの安全を考える母親が母子避難して、取り残された父親が不安定になるという話し。母子避難の経済的・心理的なケアというのも緊急の課題ですが、一方で一人残される父親たちのケアも必要になりますね。子どもから引きはがされたショック。東葛地域でもこれから「取り残されおやじの会」でもやりますか。
 この日の放送の有料本編は有馬哲夫早稲田大学教授をゲストに「正力松太郎はなぜ日本に原発を持ち込んだのか」です。
7月1日無料放送分
この日の藍原寛子氏の報告は、福島の子どもたちの尿からセシウムを検出したというニュース。6歳から16歳の男子6名、女子4名で事故当時から福島市内に住み、5月20日頃に採尿。一人は3月23日の時点で山形に避難していたがやはり検出されてしまいました。「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」がグリーンピース・ジャパンなど6団体と参議院議員会館で共同記者会見で明らかにしました(詳しくはこちら「共同プレスリリース・6/30付」
さらに、福島県でホールボディカウンターによる検査が行なわれて、数百ベクレル/kgの内部被曝が検出されている件、また福島県内で実行された除染活動の実際の様子が取材されています。通学路を県職員と一緒に保護者たちが協力する姿が写されています。デッキブラシとスコップ。福島第一小学校の玄関脇で高さ1cmで47μSv/hあり、除洗後1.8まで落ちたそうです。東葛地域でも参考になるでしょう。
この日の有料本編は「スマートグリッドがもたらす『引き受けるエネルギー社会』」、6/18日の放送は「改革官僚」古賀茂明氏(経済産業省大臣官房付・退職勧告を受けているという)をゲストに「原発震災を防げなかった本当の理由とは」で、大変興味深い内容です。月525円という安価で新聞ではまず読めない、内部事情にまで踏み込んで「時間制限なし」のネット放送ならではの掘り下げが毎週行なわれています。この放送からゲストの著作などを読むのもよし、逆に読んでから著作に書けない本音がぽろりと出るのを見たり、強くおすすめします。

7月31日まで延長!7月5日締め切りの署名をお願いします!
福島の子どもたちを守るための緊急署名
避難・疎開の促進と法定1ミリシーベルトの順守を
オンライン署名はこちらから
https://spreadsheets1.google.com/spreadsheet/viewform?hl=en_US&hl=en_US&formkey=dDl1ZG52UnhQX1FscF9PbWhVQWJPWEE6MQ#gid=0

2011年6月14日火曜日

事故の実態と被害の把握・対策を

このところ毎日のように明らかにされる東電の「後出し情報」、それを追認しかできない原子力安全保安院の調査能力の欠如(責任の放棄)、安全委員会の「SPEEDI画像実はもう数百枚ありました」、怒りを通り越して脱力してしまうわけです。ともかく後出し情報から類推される11日からの事故の実態はまさしく戦慄すべきものであった(今頃こんなことを「命じる」のか、今まで何してたのかとあきれる記事)。
原発事故直後からの操作記録、東電に報告命じる
水素爆発の映像を見てこれはまずいと子どもたちの避難を考えたが、官房長官の「圧力容器は健全です」「ただちに健康に影響を与えるものではないレベル」という言葉を信じてしまった自分がなさけない。東電はまだ認めていない(つまり私の想像だ)が、11日地震直後に各炉で配管の損傷が起こり、冷却材喪失と炉心溶融は進行しはじめ、津波による電源喪失はこの事態を決定的にしたのではなかったか。結果として東電が「発見」したように初日から「圧力容器の健全性」など保たれてはいなかった。経団連の会長とかいう頭の中がブラックボックスな輩が「地震に耐えた」と褒め称えたが、耐えてはいなかったのです。特に15日から吹き出した高濃度放射能プルームは福島各地を襲い、21日22日には金町・東葛地域・茨城県南の上空に漂ってきて、雨によってたたき落とされ「ホットスポット」をつくった。
この放射能放出と被害は、しかし事前(90年代)にその危険性があると警告されて対策まで示されていたというのに、東電は何もしていなかったというのです。
「産経ニュース」
「東電の不作為は犯罪的」IAEA元事務次長一問一答

IAEA元事務次長「防止策、東電20年間放置 人災だ」

ここでもわずかな金(毎年原子力産業のために使われる金額に比べれば)をけちって被害を拡大させた「官僚」機構の弊害が明らかになる。

内閣府の下におかれた「事故調査委員会」が果たしてしっかりした調査ができるのかとまた疑ってしまう。原発を推進してきた部分が主流であるエリート官僚たちが事務局をつとめる委員会に、官僚組織や巨大独占企業の内部に踏み込んだ調査ができるのでしょうか。
IAEA閣僚会議に対する日本政府の「原発事故報告書」も、津波の巨大さを強調して、事故が起きた時にどうするか全く想定していなかった官僚組織のいいかげんさが隠されている。口先では安全といいつつ、実は事故のリスクは高かったというのは責任官庁は知っていたはずで、だから国民に隠れて十分に準備していなければならなかったのに、本当に何もしていなかったのですね。その結果現場で被曝労働を強いられるのは「協力会社作業員」であり、現場の東電職員であり、さらに核施設・核燃料輸送車事故に備えていた消防レスキュー隊や核戦争・化学戦に備えていた中央特殊武器防護隊などのみなさんになる。
65年前に若者たちに死をおしつけておいて裏で戦時物資を横領し、戦後のうのうと生き延びた中央の軍・政治官僚、政治家連中と同じことを、「地下原発構想」だの「世界一安全な原発」などという姑息な幻想をふりまいて続けようとする連中がいる。もう核燃サイクルの不可能性、すでに溜まりすぎた使用済み核燃料など高レベル廃棄物の管理だけでも「数万年後の子孫」にまでつけを押しつけているというのに(ウランが枯渇した後、自然エネルギーで作った電気で冷却しつづけなければならない)。

そして、数万年後の子孫たちの親になるべき「今の子どもたち」のために緊急に必要なのは、少なくとも「年間1ミリシーベルト」を超える外部線量被曝が確実な地帯での除洗作業・降り積もった核種の特定と内部被曝の実態調査でしょう。一地方自治体で無理なら広域自治体連合でもいいから、ホールボディカウンターを用意して、疫学調査を開始すべきだと思います。数十年後を見据えて。何はともあれ福島の子どもたち、そして東葛の子どもたちと。
福島市は、全生徒・児童に積算線量計バッジを配布して月一回回収して統計をとることにしたそうです。東京新聞記事
「子ども3万4千人に線量計配布 保護者不安で福島市」

2011年5月30日月曜日

進行する海洋汚染と海産物への生体濃縮・内部被曝

グリーンピースによる海洋汚染調査とその報告です。
「海洋調査結果、21サンプル中14サンプルが日本政府の定める暫定規制値を超える。政府にたいして調査の強化や水産関係者への補償を要請」

上杉隆氏がこのグリーンピースの調査と海産物汚染についての記事を『ダイヤモンドオンライン』「週間・上杉隆」に書いています。
「世界で2ヵ国しかない、グリーンピースの海洋調査を断った国・日本。政府は今すぐ独自に調査をやり直すべきだ」
「ストロンチウム90の海産物汚染に無策な日本政府。細野豪志首相補佐官の「約束」に期待したい」
他のバックナンバー「情報隠蔽で世界の孤児になりつつある日本。もはやチェルノブイリ当時のソ連以下かもしれない」なども興味深い。
(6/2追記:『現代ビジネス』の記事「野菜と海藻(ワカメ・コンブ・のり)放射能汚染調査の全記録」で官邸内部で行なわれた「グリーンピース対策」、海産物だけでなく陸側で行なわれた農産物の測定値も紹介されています。南相馬市のホウレン草の値はショックです。「原発に頼らない地域づくり」という市長さんの方針に賛同して、これから被災地支援活動をしていきたいと思うのですが。6/1の記事「放射能で『汚れた土』がこれからしでかすこと」も併せて問題提起として考えていきたい)

三重大学生物資源学部准教授の勝川俊雄さんの公式サイト、モットーは「長いものには、巻かれません。研究者の顧客は誰か?」という心強いもの。「食品の放射性物質の暫定基準値はどうやって決まったか」「海水が『不検出』でも、魚の汚染は進みます」など、専門の海洋汚染、魚の種類や部位別・核種による生体濃縮の傾向など、大変参考になります。特に一番目の記事では、3月25日に行なわれた食品安全委員会の議事録を追いながら、基準値が現状追認側に誘導されていく課程が検証されています。

5月28日放送の「ビデオニュースドットコム」の無料コメンタリー部分、前半は「布川事件」に見られる日本の刑事司法の崩壊をジャーナリスト青木理氏と神保・宮台両氏がコメントしています。後半は福島の小学校での校庭表土除去作業の実際を福島現地のジャーナリスト藍原寛子氏と神保氏が取材した映像を宮台氏とコメントしています。マスクをする小学生たち、簡易計測器での測定数値、用務員のおじさんが草をむしり「全部ひまわりを植えるんだ、放射能除去にいいという話し聞いたからさ」という場面で涙目になる反面、対する文科省の対応や被災者と無縁の政治家たちの動きなど、怒りを新にします。
布川事件では警察と検察が「社会の安心」のために証拠もない容疑者を逮捕してでっち上げ、マスコミも裁判所もずさんな立件をチェックできない司法の腐敗がまた明らかになりました。
実は原発関係でも司法の腐敗が極まっていたことが明らかになっています。最高裁判事・味村治は1992年に伊方原発1号炉訴訟・福島第二原発1号炉訴訟において原告の上告を棄却し、「安全」というお墨付きを与えていたのですが、なんと退官後の1998年、東芝の「社外監査役」に就いていたというのです。(http://www.mynewsjapan.com/reports/1437)

2011年5月21日土曜日

内部被曝はどのような被害をもたらすか

内部被曝の危険性について、矢ヶ崎克馬琉球大名誉教授が訴えるビデオニュースの無料放送です。
「依然として最大の脅威は内部被曝のリスク」
物理学者として、アルファ線、ベータ線を発する核種を体内に取り込んだ場合に何が起こるのかをわかりやすく解説してくれています。矢ヶ崎氏は福島県内で市民団体の要請で内部被曝の危険性について講演し、線量調査も実施したということです。

欧州放射線リスク委員会(ECRR)の2010年報告書を「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」が緊急に翻訳しました。大部なものをPDFで公開してくれています(これから勉強しないと)。
欧州放射線リスク委員会 2010年勧告『放射線に安全な線量はない』PDFにとぶ目次ページ
ECRR(ヨーロッパ放射線リスク委員会でも検索でヒット)は2003年勧告(これも「美浜の会」が翻訳、出版)で国際放射線防護委員会(ICRP)の基準を内部被曝の影響を過小評価していると批判し、チェルノブイリ事故の被害についても実際にはICRPの見解より深刻な被害があったと報告しました。
「本委員会は、現在のガンに関する疫学調査は、1959 年から1963 年にかけて世界中で行われた大気圏内核実験による被曝と、核燃料サイクル施設の稼働がもたらした、さらに大量の放射能放出が、ガンや他の健康被害の明確な増加という結果を与えているとの結論に達した」「本委員会ECRR の新モデルと、ICRP のモデル双方を用いて、1945 年以降の原子力事業が引き起こした全ての死者を計算した。国連が発表した1989 年までの人口に対する被曝線量を元にICRP モデルで計算すると、原子力のためにガンで死亡した人間は117 万6300 人となる。一方、本委員会のモデルで計算すると、6160 万の人々がガンで死亡しており、また子ども160 万人、胎児190 万人が死亡していると予測される」「本委員会は以下を勧告する。公衆の構成員の被曝限度を0.1 mSv 以下に引き下げること。原子力産業の労働者の被曝限度を5 mSv に引き下げること。これは原子力発電所や再処理工場の運転の規模を著しく縮小させるものであるが、現在では、あらゆる評価において人類の健康が蝕まれていることが判明しており、原子力エネルギーは犠牲が大きすぎるエネルギー生産の手段であるという本委員会の見解を反映したものである」(2003年勧告「結論」部分より)

ECRR勧告作成のメンバーで、唯一の日本人である沢田昭二氏(名古屋大学名誉教授)の最新論文がカナダにある「ピース・フィロソフィー・センター」の日本語サイトに載っています。
「放射線による内部被曝——福島原発事故に関連して——」
同サイトはとても充実しています。じっくり見なくては。
こんな記事がありました。
「NHKに一瞬映った「WSPEEDI」3月15日被ばく予測マップ」
「公表していない図」がNHKで画像となっているのは、内部リークということなのでしょうか。数値は確かに高めに出る(というか避難勧告をするためには安全策で高めに出ても有効)だろうし、「正確ではない」でしょう。だけどこの図を見ると「どういう方向に逃げるのがリスクが高い」かは判断できる。だが安全委員会はこの図の赤い孤の部分(北茨城・水戸・野田・太田・前橋に至る人口密集地)の住民が「パニック」になるのを怖れたのだと思う(自分たちのレベルで国民を判断するなよ、といいたい。国家公務員や学者と違ってみんな地域生活があって逃げたくともそうそう逃げられないのだ)。3月21、22日の雨の時点での予測マップを原子力安全委員会は「持っているが公表していない」のだと強く推測されます。

2011年5月19日木曜日

低線量被曝と内部被曝による晩発性障害について

「東葛ホットスポット」。ここ数日「はかるくんII」で測った数値では初石駅近辺路上1mで0.3μSv/h、木造住宅内で0.1を切るようになってきました。3月21、22日の雨で東葛地域に落ちたチリの核種は行政当局が未だに測定していないために正体がはっきりしませんが、ヨウ素とセシウムが主だとすると、そのうちヨウ素が1カ月で5%程度に減衰しているために徐々に下がっているようです(もちろんこれは放出の続いている福島第一現地からまた大放出があったり、台風などでチリが巻き上げられて拡散し、ふたたび近辺に流れてきたところに雨で地上に落ちるなどがなければ、という仮定でです)。しかし、これからセシウム137など半減期の長い核種が残れば百年単位の計測と疫学的影響調査が必要になるでしょう。体内に取り込んだ場合の影響については日本政府の数値はもちろん国際放射線防護委員会(ICRP)の数値も過小評価しているといわれています。むしろ「フクシマ」の知見が蓄積されて、これから世界での原発事故対策に取り入れられていく、ということです。そこで「日本ではこうやって被害を低減できた」となるか、「日本ではこのようにしたために被害が拡大した」となるかなのです。
行政とのやりとりで感じるのは地域自治体の対応が国家官僚・御用学者の孫引きなことです。よくいわれますが、エリート国家官僚は数年で担当が替わるために長期的な責任を問われない体質になっている。地域住民と直に接する自治体職員のみなさんを私たちの側にとりもどさなくては。官僚の仮面なんかとって人間に戻ってね、と。

政府・御用学者ではない情報について。
崎山比早子さん(元放射線医学総合研究所主任研究官、医学博士、現高木学校)の動画
原子力資料情報室の映像アーカイブ

文書3点です。
ドイツ放射線防護協会「日本における放射線リスク最小化のための提言」(PDF)
日本政府の数値でなく、ドイツ放射線防護令を適用した場合の「がまん値」についての提言。推計の前提がラフですが、日本で市民・専門家によってしっかりした対策をつくるための参考にはなるでしょう。

「チェルノブイリ原発事故によるベラルーシでの遺伝的影響」
ベラルーシにおける事故後の先天性異常についてのデータがあります。

「放射線と健康」アーネスト・スターングラス博士
アメリカで原水爆実験と原子力事故による晩発性障害の研究をしてきたスターングラス博士が2006年青森で行なった講演のまとめです。「どなたか広島・長崎以降の国家医療費の総計を、原子力発電所の推移とくらべて調べてみるといいでしょう」。

以上文書3点の出典サイト「福島原発事故情報共同デスク」の「放射能の基礎知識」
(ここに紹介されてる「よくわかる原子力」「キッズページ」子どもにみせてみようかな)

2011年5月3日火曜日

飯舘村のみなさん・2

先に「飯舘村後方支援チーム」の活動についてお知らせしました(「飯舘村のみなさん」)。
その後の村の様子について4月30日に平塚で行われた報告会の様子です(岩上安身氏のサイト)。
シンポジウム「飯舘村支援のために市民ができること」
第一部で「後方支援チーム」による報告、第二部で河野太郎自民党議員のエネルギー政策の今までと今後について、第三部質疑応答となっています。
飯舘村のみなさんの避難が遅くなっているのは、初期に県が派遣した「専門家」が「安全だ」と言ったためだという。「手を洗えば大丈夫、路地野菜も洗えば大丈夫、セシウムもそのうち雨で洗い流されるから心配ない」とまで言ったそうです。その後に「計画的避難地域」という指定を村全体が受けたため、村の人々は安全じゃないのか、と困惑している。
(6月3日追記:フリージャーナリスト田中龍作氏の記事「飯舘村 山下教授 『洗脳の全容』」、4/1に行なわれたあの「福島県放射能リスクアドバイザー」による村議員・職員向け非公開セミナーでの発言を再現しています。詐欺罪とか成立すると思うけど。いや、業務上過失傷害か)
報告者のひとり小澤祥司氏(環境ジャーナリスト)が「ダイヤモンドオンライン」でレポートを執筆しています。「持続可能な村づくりを奪われた村――原子力災害の理不尽な実態」

国と東電は責任をもって福島第一から数キロごとの同心円上にきめ細かくモニタリングポイントを設定し、核種分析を含めた情報を収集して全面開示を行なうべきです。
柏・流山・松戸・金町もミニホットスポットと言われてますが、とにかくこの地域の行政が第一になすべきは国・東電と交渉しつつも、動かないなら自前でモニタリングを充実させてきちんと情報を開示することでしょう。周辺農家の作物もきちんと測定しないと、住民の買い控えは収まらないでしょう。信頼のおける数値が出てくれば、乳幼児には食べさせない、子どもをつくるつもりのない人は食べる、などの判断ができるようになります。特に地域で有機農業などを実践してきた農業の次代を担う若い農民の方にとっては死活問題になりつつあると思います。

東電・責任のとらせ方

大メディアに一斉に流された「賠償スキム」は、東電が国民を人質にとって存続を図る方策だといわれます。あの作文は急遽2兆円を追加融資した「メガバンク」が焦げ付き回避のために作り、財務省のチェックの後にアドバルンとして打ち上げてみたということらしいです。
5月2日、環境エネルギー政策研究所の第3回週定例記者会見の様子です。
http://www.ustream.tv/recorded/14427069

ISEPでは被災地復興にむけて「つながり・ぬくもりプロジェクト」を起ち上げました。その報告を顧問の竹村英明氏が行なっています。
嬉しい話題としては、長野県知事が「自然エネルギー100%」という方針を出したそうです。

「東電ゾンビスキム」については、高橋洋一氏が「政府の東電救済策では国民負担は10兆円になる」と警鐘を鳴らしています。
「現代ビジネス」記事「大増税路線に騙されるな!」
小泉竹中路線の「郵政改革」で具体的な政策スキームを立案していた財務官僚だった高橋氏は、「霞ヶ関埋蔵金」とか官僚の金城湯池だった聖域のいくつかを明るみに出しました。結果として官僚組織からは天敵扱いされ、外にでたあげく不可思議な事件で逮捕されましたが、なんとか復活してきています。一方で、小泉竹中路線は20年遅れのサッチャリズムであって、非正規雇用の全面化、地方にかろうじて残っていた地域共同体の息の根を止めたという巨大なマイナスをもたらしたという点を忘れるわけにはいきません。竹中平蔵というのは、非関税障壁としての日本社会の慣行・既得権益の良いも悪いも一緒にしてつぶして欧米資本に「自由化」しただけではないか、というのが私の評価です。
その点は気をつけながらも、高橋氏は官僚の操作手法を知り尽くしている数少ない「在野」の人物として貴重だと思います。TPPに賛成するなど、アメリカの戦略にあまりに無防備だとは思いますけど。
「政府案が、巨額の賠償を考えると東電が債務超過になっているにも関わらず、債務超過にさせないように国民負担をつぎ込むのは、おかしい。これで利益を得る人は、東電株主や社債権者だ」

2011年4月26日火曜日

東電・責任の取り方

東電についてまわりでよく話されるのが「お詫び広告なんかに使う金があるならその金を賠償資金にしろよ」という事。そもそも地域独占企業がなんでマスコミの大スポンサーになる必要があったのか。「民間企業」が「商品(東電では電力)」をつくるのになぜ巨額の交付金(税金)を補助されているのか。
東電が作ったという賠償スキームというのが発表されました。なんと基本的に東電がその利益から賠償していくという構想のため、電力料金が大幅に値上げされるというものです。こんなに国民や被災者をバカにした話しはないでしょう。
経済ジャーナリストの分析(ビデオニュースの無料コメンタリ)

東電スキームと復興支援の在り方について(環境エネルギー政策研究所の定例記者会見)

自民党内で反原発(反核燃料サイクル)を訴える河野太郎議員の東電スキム批判ブログ記事

電気料金は設備投資の金額にプラスして「適正利益(2004年までは8%、その後3%)」を保障される体系であるだけでなく、さらに立地対策に税金を投入して経費を国民に負担させていた。つまり企業が工場を新設してもなんの努力もなしに無条件に価格に転嫁できるうえに、工場の立地は国に準備してもらっていた、ということになります。地域独占なので競争相手がいないから値上げされても国民は払う以外に選択肢はなかった。その結果電力料金はアメリカの数倍になっている。推進派の研究所資料でも割高はあきらか(国際比較論文・PDF)
このような特権保有企業は「民間企業」とはいわないでしょう。こういう企業の風土がどうなるのか。しかも都合の悪い時は「民間企業」になって企業秘密とやらで情報を隠してきた。
東電は純資産2兆5千億円を保有し、さらに公益法人とやらを電力会社持ち合いでいくつもつくって利益を配分、留保しています(もちろんそこは経産省など官僚の天下り先)。電力料金値上げや税金を投入する前にこれらをまず吐き出させるべきでしょう。
一方で、広告費・地域啓蒙費・電通による広告支配、マスコミの記者クラブ体制。これらはやはり戦中に確立された総動員体制を出発点としているでしょう。「銃後の小国民」を作り出すことはつまり「非国民」を作り出すことであった。政府(各省官僚と陸軍参謀本部・海軍軍令部)に批判的な声(議員・言論人・記者・活動家・批判的宗教者・果ては一般国民まで)は徹底的にメディア・町中から消し去られてしまった。その結果公共の場での活発な討論が消し去られ、各省庁、軍内部でのまともな戦略論議すら不可能になり、1945年の敗戦にいたってしまう。今回の事故は基本的にまったく同じ構造が作り出したものだと思います。
巨大な利権(電気料金と税金)をめぐる原発推進体制で利益を得てきた連中は事故にもかかわらず、あるいはそのどさくさにまぎれて利権を温存しようとする。これは終戦時に陸海軍・国家官僚・政治家たちが大日本帝国中の資産・戦時物資を私物化して隠匿し、「戦後」に備えた歴史に明らかなように、その立場になった連中の習性なのでしょう。ソ連解体時の共産党・国家官僚たち、国営企業経営陣、政治家たちの動きを見ても共通している。

電気事業連合会・会長交代(清水東電社長から八木関電社長に)
相変わらず推進モーメント(暴走?)を保つ「ご挨拶」(4月15日付)

福島県内小中学校の放射能汚染

先に福島県内小中学校で保護者たちが自主的に空間線量を測る運動について紹介しました(「飯舘村のみなさん」)が、その結果県が全小中学校、幼稚園・保育園、公園などの空間放射線量を測定して結果を公表しました。
福島県内小中学校等の空間線量http://www.pref.fukushima.jp/j/schoolmonitamatome.pdf

4月19日、文科省は福島県教育委員会に県内小中学校、保育園などで、子どもたちの校庭での活動について「年間20ミリシーベルト」という被曝「暫定」基準値を通達しました。
文科省文書http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1305173.htm

これは国際放射線防護委員会(ICRP)の一般人の基準値(1~20mSv/year、内部被曝に関して考慮不足といわれている)の上限数値です。いままで1ミリシーベルトとしていたのに、なぜ20倍なのでしょうか? ICRPは緊急時20~100ミリとしていますが、それは退避中とかであって、長期間日常生活を送ることを想定していないはずです。ましてチェルノブイリの経験で明らかなように、子どもは大人より被曝に対する感受性が高いのだから、保護基準はより厳しくすべきはずです。
福島県内の小中学校などでは、現行法で「放射線管理区域」となる0.6マイクロシーベルト/時以上の空間線量になる所が75%以上になってしまっています。ニュースでは、福島市内の公園で「遊びを1時間以内にするように」という県の掲示板が取り付けられる様子が報道されました。20ミリシーベルトという「基準」(文科省もさすがに夏休み明けまでの暫定値としている)は、官僚による「何もしないため」のつじつま合わせだけではないか、という疑問が出されています。
撤回を要求する主張http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=1093
文科省との交渉報告http:/blog.canpan.info/foejapan/daily/201104/21

経産省ではなく、子どもの権利を擁護すべき文科省がなぜ? と思ったら、旧科学技術庁という推進派の拠点のひとつが文科省内にありました。さらに文科省は小学生に「わくわく原子力ランド」、中学生に「チャレンジ! 原子力ワールド」という副読本を全国で配布する推進団体だったという怖いお話しなのでした。

2011年4月20日水曜日

官僚主導国家の顛末

前福島県知事・佐藤栄佐久氏が4月18日に外国特派員協会で行なった記者会見の様子です。
(逐次英訳つき)http://www.videonews.com/press-club/0804/001839.php

以前当ブログでも紹介しましたが、佐藤前知事は国策としてのプルサーマル燃料導入、大店法規制緩和、猪苗代環境保全など多くの点で政府(役人)と対立する存在になっていました。そしてマスコミの収賄スキャンダルと特捜検察による逮捕の結果、知事職を追われ政治的に抹殺されたわけです。
佐藤氏は今回の事故は(1)石橋克彦教授が地震と原発事故の複合を予見して「原発震災」を警告していたにもかかわらず、原発の震災対応基準をしっかりしたものにしなかった点、また(2)当の福島第一原発2号機で電源喪失事故を2010年6月17日に起こしていたにもかかわらず(非常用ポンプがすぐに作動せず原子炉水位が2mも低下)電源の複合化などの対策をとっていなかった点という二点だけでも明白な人災であった、と述べています。
そして、現在の日本国家の体制は官僚主導の「チェルノブイリを起こしたソ連に似た全体主義国家である」とはっきり問題を指摘しています。そして今こそ民主主義をしっかりと日本で確立しなければならない、と述べます。別項で述べますように、細かい点はともかくこの問題意識は正しいのではないでしょうか。

官僚主導体制の重要な要素であるマスコミの官僚体質(宣伝費注入による御用報道)については、フリージャーナリストの上杉隆氏の会見が明らかにしています(なんと鳩山由紀夫前首相主催の4月6日勉強会での講演の様子)。
(YOUTUBE動画6分割されています)http://www.youtube.com/watch?v=O0CRuajD6C8&feature=related

上杉氏は発言に正確さを欠く時があってすべて信用するのもなんですが、独特のユーモアもあって大筋を把握するにはとてもわかりやすい講演です。

2011年4月19日火曜日

自然エネルギーの可能性

NPO「環境エネルギー政策研究所(ISEP)」の記者会見ストリーミング番組です。これから週一回で放送予定ですが、第一回は福島第一原発事故関係で東電の発表したロードマップ、ヨーロッパでの識者の反応など、中長期的な自然エネルギーの推進と復興との関係などについて飯田哲也所長が述べています。
第一回放送http://www.isep.or.jp/isep-ch.html

もう一つ、4月17日にロフトで行なわれた河野太郎議員と飯田哲也氏のトークライブがユーストで流れています。ちょっと長くなりますが、「計画停電」の決定過程、夏のピークの対策など、裏話も含めておもしろい内容になっています。旧科技庁+原子力安全員会対経産省保安院+東電という「原子力村」内での対抗関係、SPEEDIデータの公開の顛末、官邸の動き方などなど、笑ってしまう話しがでてきます。もちろん現状を考えると涙目になりながらですけど。

前半http://www.ustream.tv/recorded/14090027
後半http://www.ustream.tv/recorded/14091157

後半は日本のエネルギー政策転換、核燃料「サイクル」の闇とその破綻、再処理構想のために蓄えられている2兆数千億円をただちに賠償に当てろ、とかやや中長期的な前向きの議論もあって参考になります。
飯田哲也氏はある理想を持ちつつ、しかしその実現のためにステップを踏んで合意形成していくという日本人(特に「活動家」)に見られなかった粘り強いタイプの人物だと思います。河野太郎氏との関係もそのひとつでしょう。
私も遅ればせながらISEPの個人会員になりました。「計画停電」を防ぐための提案、震災復興での自然エネルギー活用提案など早い対応が見られます。
http://www.isep.or.jp/fukunp110311.html
これから地域で自然エネルギー普及の活動を始めていこうと思います。ひとりじゃ何もできませんが、みなさんと一緒におもしろい地域・子どもたちが笑って暮らしていける地域をつくっていこうじゃありませんか。

2011年4月15日金曜日

飯舘村のみなさん

3月15日の2号機圧力抑制室破裂による放射能雲の放出、当日の風向きと降雨によって高濃度汚染にさらされた飯舘村における今中哲二(京大原子炉実験所)助教らによる(村役場と一緒に行なった)放射能自主測定の報告、飯舘村のみなさんと20年間村づくりをしてきた糸長浩司(日本大学生物資源科学部)教授ら「飯舘村後方支援チーム」の活動について、福島県内小学校での放射能自主測定活動と行政への要請などについての4月13日衆議院院内集会での報告会の様子(ストリーミング放送)です。

原発震災から子どもたちを守れ!~専門家・市民による独立放射能汚染調査報告と要請~

前半に県内小学校での放射能自主測定活動、後半が飯舘村における汚染状況と「後方支援チーム」の活動、復興支援プランなどについての説明になります。特に20年にわたって飯舘村とともに村づくりを伴走してきて、エネルギー自給も部分的に実現し、他の地域がライフラインが途絶えた時も飯舘村の老人ホームなどは基礎的な部分では困らなかったことなどには感動させられます。
しかし、原発事故はそのような村づくりを「目に見えぬ汚染」によって根底から破壊してしまったわけです。村の七割が里山で、キノコ類を含めて豊かな生態系が残っているのですが、土壌は汚染され、セシウム137は今後百年間は影響しつづけるでしょう。
今中哲二氏が「最後に個人的な見解」として述べています。「放射能の影響というのは急性と晩発性の二種類あるというのは学者ならみんな知っている。ところがテレビに出ている専門家と称する連中は急性の影響しかいわずにただちに健康に影響はないと言う。どうしたことかと耳を疑った。晩発性の影響の度合いについてはもちろん学問的な論争はありうるが、そもそも全くないかのようにしているのは故意か忘れたのかどういうことなのだろうか」と。

飯舘村周辺放射能汚染調査チーム暫定報告(PDF)

飯舘村までいな暮らし普及センター
までいライフ宣言
「までい」という言葉は「じっくり」「心をこめて」という意味だそうです。飯舘村と飯舘村企業組合の公式サイトです。こういう営みを押しつぶした力、それを推進してきた連中こそ「合法暴力装置」というのでしょう。

2011年4月12日火曜日

東北道にて

4月9日から10日にかけて、関係しているNPO団体の支援物資を仙台に運ぶ4トン車の運転手をしてきました。本当は現地で作業の手伝いをしながらいろいろな情報を得たかったのですが、到着が夜だったことと、トラックを早く返す必要があったために今回はできませんでした。
当日の東北道は時折小雨が降る状態。地震の影響によって道路が波打っている所が多く、運転には気を使いました。被災地復興支援については、今後とも続きますので別に報告させていただきます。
今回は東北道上の停車地点での空間線量について報告します(計器は「はかるくんII」、単位はμSv/h)。
2011/04/09 14:03 佐野SA       0.100
2011/04/09 16:30 安達太良SA    0.797
2011/04/09 17:47 菅生PA       0.089
2011/04/09 19:30 仙台太白区     0.098
2011/04/09 21:00 国見PA       1.217
福島第一原発に直線距離では近い安達太良SAが最も高いと思っていましたが、最も高かったのは帰り道での国見PAでした。この数値で1年間暮らすと積算で8.76ミリシーベルトになり、現在の日本政府のいう「一般人の基準」1ミリシーベルトを大きく超えます。3月15日早朝の2号機圧力抑制室爆発後の放射能雲、その後の雨による北西部高濃度汚染(飯舘村など)が実感されました。国見PAを出てしばらくすると福島市のおびただしい街明かりが見えてきました。
未だに御用学者「専門家」のなかには安全だと言う輩がいます。「ただちに健康に影響しない」というのは「即死しない」と読み替えるというのが冗談ではなくなっている気がします。
歴史的に被害者(国民)の立場にたったことがない「原子力安全委員会」が「積算線量を勘案して」「計画避難地域」という概念を出してきました。公表を止められた気象庁のデータや内部では試算しているであろうSPEEDIのデータを見ればもっと早く決断できたでしょうに。何ヶ月後か、あるいは何年後か、彼らは「内部被曝試算値」を公表するのでしょうか。

4月10日原子力安全委員会速記録(PDF)
SPEEDIによる外部被曝積算線量(3/12~4/5)(PDF)

再臨界の可能性が高い

「ビデオニュース・ドットコム」の無料放送。京大原子炉実験所・小出裕章助教が福島第一原発1号機における「再臨界」状態の可能性が高いと解説しています。
http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/001814.php
根拠は(1)8日に公表された数値で1号機の格納容器内の放射線量が100Sv/hに急激に高まったこと(2)やはり公表された核種のなかにクロル38が大量にあり、これは海水注入によるNaClの塩素が中性子を吸収してできる核種であること、つまり燃料棒のペレットが溶融した部分が一定程度たまり、再臨界した可能性があるということです。99年東海村JCOの臨界事故でも見られたように、容器の底にたまった燃料物質は臨界して膨張して臨界状態ではなくなり、また収縮して再臨界する、という課程を繰り返すということです。その度に大量の熱と放射性物質が再放出されます。
圧力容器と格納容器にはテレビなどで解説に使われる簡素化された絵では想像できない多数の配管類が貫通しています。地震・容器内圧力の上昇・海水注入などによって部材が劣化、金属疲労、腐食などが起きやすくなっています。
2号機ではすでに格納容器の密閉性も損なわれ、圧力容器由来の大量の放射能を含む冷却水が地下に漏れ出ていることが明らかになっています。
燃料棒のペレットが溶融して圧力容器の底にたまり、再臨界を起こして熱によって圧力容器のステンレスを溶かして格納容器に噴出し、水と反応して水蒸気爆発を起こすというのが「最悪の事態」ですが、その可能性は残念ながら否定できないという状況でしょう。

「JCO臨界事故総合評価会議」による報告(原子力資料情報室などによる)

(4/26日追記)4月20日になって、東電は1号機タービン建屋などから採取した水の核種分析の結果を訂正して、クロル38は検出限界以下であった、と公表しました。原因はプログラムミスだということです(リンク内に詳しいPDF文書あり)。
小出助教はこのニュースに「ホッとしました。再臨界はなかったということになる」とコメント。しかし「スペクトル分析の生データを専門家が見れば間違えるようなものではないはずだが」とも。

2011年4月5日火曜日

ソフトバンクの孫正義、田中三彦・後藤政志三氏のストリーミング番組

孫氏はまともな感覚を持った人ですね。ベンチャーでたたき上げの人だからこういう感覚があるんでしょう。今まであまり関心がなかったんですが。まあiPhone奪取以後のApple利用はさすがだなと思いましたけど。
原発を自分が許容していたことを素直に反省して方向修正ができる。これから経営者感覚を持って自然エネルギーの可能性に投資し、ビジネスモデルを精力的に作り上げようとするでしょう。
対して田原総一郎はなんかもうろくしてますね。自然エネルギーに関してまったく勉強不足。あるいはかつての数十年前の取材経験しか参照できないのではないか。なんでいるのかわかりません。番組は長時間ですが、特に田原氏がいなくなってからは今後についての話しもあり、元気が出てきます。
http://www.ustream.tv/recorded/13747656
17分くらいまでは大震災被災地のレポート(孫氏も被災地を訪ねている)、以後に福島第一原発事故に関する内容になります。

ドイツ気象庁の予測図

本ブログでも紹介したドイツ気象庁の予測図は、まわりでも多くの人がチェックしているようです。
日本語訳をしている方のブログがありましたので紹介します。
http://www.witheyesclosed.net/post/4169481471/dwd0329
私の場合ドイツ語には自信がないので「推定値ですよ」と断っただけでしたが、訳された山本さんによれば、「一般的な粒子の拡散の度合い」を示すものであって、「現実の放射性物質の濃度を現すものではない」ということです。なぜなら、「放出源のデータが明らかではないから」。
日本の「SPEEDI」は、原子力安全委員会の説明によれば「地形データも考慮に入れた精巧なもの」だそうですが、やはり「放出源のデータが明らかでない」ために放射能雲の拡散予測も降雨による高濃度汚染地帯の予測も今にいたるまで発表されておりません。23日にようやく斑目委員長らが会見して「ヨウ素放出量を推定して保守的な値で試算」という図(PDF)を発表しましたが、すでに公表されている行政のデータを追認するものでしかありませんでした。一体20年間なんのために巨額の予算を使ってきたのでしょうか。
12日以降、何度も水素爆発や「ベント」が繰り返されましたが、そのたびに放射能雲が現実に漂っていたわけです。なぜか「予測システムの結果」は公表されなかった。
「放出源の正確なデータが入力できない」というのは、素人の私が考えても事故が起きたら当たり前だと思うのです。少なくとも水素爆発が起きたのだから、燃料棒の一部は溶け出している可能性が高く、ベントをして逃したガスの量を推定し、ガス化しやすいヨウ素131とセシウム137については最大値と最小値を予測するくらいのことはやるべきでしょう。そもそも「緊急時迅速予測システム」だったのではなかったか。
環境中に放出された放射能は稼働中原子炉からだけではなく、使用済み核燃料プールのものも加わっていて、それらは今でも環境中に漏れ続けています。そろそろ「専門家」の科学者としての良心を発揮してもらいたい、と思うのですが。

アメリカやフランス、IAEAはじめ世界の利害当事者企業・官僚・技術者たちが「アドバイス」に駆けつけています。米軍は事故当初から高々度無人偵察機「グローバルホーク」を原発上空に飛ばし、詳細な画像データを日本政府に提供していたといわれます。ところが「詳細な画像」は東電が外部の民間会社に委託した無人機のものしか発表されていない。
自衛隊も陸自がヘリ型低空用無人偵察機を保有していて、イラク派遣部隊でも周辺偵察に使っていたはずなのですが。
あるいはマスメディアでは、1号機と3号機の水素爆発までLIVE映像を流していた日テレのカメラはどこに行ってしまったのでしょうか……。
危機的事態への対応のつたなさ、というのが露呈していますよね。菅民主党政権は経験値が低いうえに官僚層の抵抗を受けて白旗状態だったわけですから。しかし一方で自公政権だったら良かったとは私にはとても思えません。むしろ既得権益官僚層と一体化した政治家たちとマスメディアのタッグ体制が続いているわけですから、別の形で危機はより一層深刻化していたのではないかと推測します。

(2011/06/01追記)
ライブカメラですが、【TBSのもの(遠景)】に続いて、【東電のもの(1号機北西事務本館近くから・30秒遅れ)】が見られるようになりました。

2011年4月4日月曜日

「作業員」のみなさん

自衛隊や消防の隊員のみなさんは被曝しながら作業をされています。もちろん東電の本社社員のみなさんもそうです。実際のプラント設計をして応援派遣された東芝や日立の社員の方々もそうです。なんとかできるだけ被曝を少なくしていただきたいと願います。
しかし、今回だけでなく、数十年の原発運転の陰で、下請け孫請け(七次請けなんてことも聞きます)企業の「協力企業作業員」と呼ばれる人々は、もっとも被曝線量の多いところで実際にぞうきんをもって漏れ出た水を拭き取ったり故障箇所の修理を担ってきました。
工業高校を卒業して下請け企業に就職し、すぐに浜岡原発に派遣されて定期点検中の格納容器の底でいろいろな作業に8年間たずさわり、「管理手帳」上は50数ミリシーベルト(しか)浴びたことになっていない嶋橋伸之さんは、「慢性骨髄性白血病」となり、病院で一年の闘病のかいもなく29歳で死亡されました。
伸之さんのお母様が原子力資料情報室の会見で伸之さんの被曝と企業の対応について語っておられます。
http://www.ustream.tv/recorded/13718448
今回の事故は、大量の放射能を環境中に放出しています。2号機に関しては圧力容器と格納容器が破損して、燃料棒からの核種が直接漏れ出しているようです。伸之さんが浴びた放射線以上の汚染環境が特に水にとけ込んで敷地内に漏れ、地下水、海水を汚染し続けている。
作業員の方々の心身の疲労を考えると極限状態という言葉を思い浮かべずにはいられません。報道では、東電側は線量計すら全員につけさせずに作業させていたことが明らかになりました。あらためて、東電本社・保安院、電事連など、官民の政策作成・指示・命令系統を担ってきた官僚たち、人工出しで儲けてきた企業経営者たちに怒りをおぼえます。
冷温停止から外部環境への放射能漏れを防ぐにはこれから数ヶ月から年単位での長い放射能との戦いになるでしょう。その間、第二第三の伸之さんがでないことを祈るしかありません。

劣悪な現場作業についての報告「野宿労働者の原発被曝労働の実態」

全国で稼働中の原発、特に「統計上いつ来てもおかしくない」東海地震の震央に位置する浜岡原発をできるだけ早く止めたいものです。停止しても、各原発内には溜まり続けた燃料棒プールがあり、むつには全国から燃料棒が集まっているのですから。思考停止せず、一刻も早く震災対策を見直すべきではないでしょうか。

むつ「中間貯蔵施設」について(東電パンフ・PDFファイル)
むつ「中間貯蔵施設」について(原子力資料情報室ニュース)
浜岡原発停止署名のご紹介

2011年3月30日水曜日

推進派の巻き返し

この間、推進派のなりふりかわまぬ醜態が目立ちます。
このまま炉心溶融・水蒸気爆発などの大放出がなければいいと願いますが、すでに東日本は数十年のスパンでガン発生率があがっていく疫学的社会になってしまいました。私に言わせれば「確率的な業務上大量致傷・殺人事件」です。
想定を超える天災だったのだからというキャンペーンが日経・テレ東ではられています。東電への支援や国有化などという発言まで出ています(「日経ビジネスサテライト」にて)。キャスターいわく「わたしたち東京の人間は原発の電気を享受してきたのですから」。

電力会社という独占企業は設備投資に比例して利益を保証されるというとんでもない料金設定をしてきました。戦中の総力戦体制という国家官僚制社会主義の生き残りといえます。
それも高い電力料金を問題化されないために、一般消費者には高い料金、大口消費者(つまり大企業)には割引料金を設定するという「国策会社」というかいわばぼったくり企業でした。
自然エネルギー推進の声を押しつぶして原発という巨額投資(自由化されたアメリカでは投資回収が長期に渡りさらに価格競争力もどんどん落ちているために民間資本が資金を出さない)を推し進め、国策として官僚・研究費をふんだんに税金を使って投入し、反対派を金と暴力で排除してきた連中を、また税金投入で救済するというのでしょうか。
どこまでいってもつけを国民全体におしつけようとしている。いいかげんにしていただきたい。法治国家であるならば、刑事・民事両方の容疑者たちである推進派全体をしっかりと明るみに出して、ひとりひとりの責任を追及するべきだと思いませんか(私は末端の現場労働者のことを言ってるのではありません。政策決定・遂行責任と経営責任を負うべき官民学の官僚たちのことを言っています)。
さて、NHKで29日の11時半ころの「放射線に詳しい問い合わせ先」で、どうせ放医研とか推進派が紹介されるだろうと思っていたら、なんと最初に出てきたのが「原子力資料情報室」だったのです。
ああ、NHK内部で良識派の反乱が始まったな、と思いました。この動きが官僚たちにつぶされないようにしたいものです。
特に表面にでてきているのは水野解説委員で、29日夜の解説委員番組では東電と政府の情報の出し方が「非常に」不十分であるとはっきりと指摘しました。日本のみならず世界の原子力知識の総力を結集して事態にあたらねばならない、とも発言しました。つまり、言外に推進派の隠蔽・閉鎖体質が対策の遅れの原因だと庶民に知らせようとしているように思えます。
NHK科学文化部記者たちのブログ(番組の要約あり)
しかし、報道機関内での庶民派・良識派は比較少数でしょうし、業界の利益配分を上にいくほど受けていますから、圧力がかかっているのは間違いありません。
「担当記者」というのは各官庁内に無料で提供された「記者クラブ室」に勤務して官僚の操作した情報を伝達するだけの存在だということはここ数年はっきりしてきました。
例えば村木事件での法務省・特捜検察での犯人でっち上げとその報道のされ方で明らかになった通りです。
原発関係では、当初は推進派であった福島県知事・佐藤栄佐久氏が東電と経産省の役人の不誠実さ、事故隠しが明らかになって第一原発3号機のプルサーマル受け入れを撤回する方針を示した直後、でっち上げの収賄事件で辞職させられたことがありました。裁判所は有罪判決をくだしましたが、収賄金額は認定されていないのです。佐藤氏のサイトです
http://eisaku-sato.jp/blg/profile/

さて、今朝のNHK、有働キャスターの番組では、また「安全安心」連呼が行われていました。ところが、「専門家」の東大教授がしどろもどろで、目が泳いでいながら「安全」を言い続けるため、当初「みんなたべなきゃだめよ、風評被害がかわいそうだから」と言っていたタレント(モリなんとかさん)も無言になってしまう始末でした。
東電と政府は農家に全額保障をするべきです。消費者に押しつけようとするのは無理筋なのですから。できても危険をちゃんと示しながら、例えば「五〇才以上の人間はまあガンの確率が上がってもいいと「蛮勇」をふるって食べましょう」という話しです。
同じ番組で、計画停電のコーナーでは、「夏場に1000万キロワット不足する」と述べて、どうやっても不足する、「しかし、今止まっている柏崎刈羽原発を動かすと350万キロワットになる」「しかし、地元住民の了承が必要です」と思わせぶりにコメントしました。
なんということか。柏崎は1~7号機まである合計出力820万キロワットの日本最大の原発サイトです。2007年の中越沖地震で緊急停止し、火災が起きたのに外部に知らせず事態を悪化させたり、「想定外」の基準加速度によって各部が金属疲労をしていると思われます。実際に放射能漏れを起こして「風評被害」が新潟県産品で起きて県知事が問題化しました。本来は全面的に検査すべきところを無理矢理再稼働させてしまったものです。その上現在停止中の2,3,4号機を動かせというのでしょうか。さらに「地元」に圧力をかけよといわんばかり。東電管内でもない土地にさらなる事故の危険を押しつけようというとんでもない「対策」です。
この東電の「無計画停電」「恫喝停電」と呼ぶべき大規模停電対策ですが、まずは大口需要者の一定割合でのカット(いきなりの停電による操業停止よりは生産計画がたてやすいでしょう)、各家庭の契約アンペアのカットを実行すべきといわれます。鉄道や病院・信号を停止させてさらなる人災を起こすべきではない。各家庭もブレーカーが落ちても使用電力をカットしてからあげれば短時間にライフラインは復旧できるのですから、みんな協力を惜しまないと思います。
さらに、まずは自前の発電所を持つ企業によって生産される電力を全量買い取りすることが考えられます。
中期的には太陽光発電など(現在はパネル設置家庭の余剰分に限って買い取りすることにし=普及することを妨げてきたことを悔い改めて)全種全量買い取り制度を導入して、風車や太陽光発電の個人・家庭からコミュニティ、ベンチャー企業など多様な起業を可能にすることが必要でしょう。
長期的には、スマートメーターの普及、スマートグリッド化など、被災地の復興も展望しながら各地域のエネルギー自給・経済力を高める政策を実現しなければ、と思います。このあたりはいずれ地域で勉強していきたいですね。

情報源としておすすめのサイトなど

会員になって数年ですが、元AP通信の記者だった神保哲生氏が始めたインターネット報道機関「ビデオニュース・ドットコム」では、震災以来無料放送で原発事故の現状、想定される事態、原因と背景について詳しく解説がなされています。
http://www.videonews.com/

連日、12日以来放出された放射能による汚染がニュースになっています。相変わらずマスコミに出てくる御用学者たちは空間放射線量を使ってレントゲン一回にも満たないから安全だといっています。雨で水源地にチリが落ちて、河川に流されて浄水場に至ったわけです。乳児の「暫定基準値」100ベクレル/リットルを超える放射能が測定され、ミネラルウォーターが買い占められています。雨は農作物の上にも降り注ぎ、各地のほうれん草など葉物を中心に汚染されたものが報告されています。
わたしたちはこれから長期間にわたって、放射性物質の監視と管理を日常的に続けていかねばならない社会になってしまいました。チェルノブイリの後、当時の西ドイツ政府はやはり空間線量のみ問題にして安全だといっていましたが、やがて牛乳や野菜の汚染が明らかになって、反原発運動が母親たちを中心にして盛んになっていきます。当局はドイツの原発は安全だといっていたのですが、実はチェルノブイリの事故の直後の5月にドイツ国内の原発でも事故によって放射能漏れが起きていて、電力会社は事故を隠していました。市民運動が放射能汚染の調査結果から事故隠しを発見してはじめて電力会社が認めるといった経緯もあって、ドイツでは脱原発が政策としてかかげやすくなっていきます(その後に「温暖化対策」という奇手が推進派から出てくるのですが)。

27日、東電が福島原発2号機の建屋の地下にたまる水を検査したところ、「通常の原子炉内の水」の放射能の「1000万倍の強さ」の放射能を持っていた、と発表しました。夕方になって、保安院は計算が間違っていて1000万倍ではなかった、再計算中と間抜けな発表をしましたが、いずれにしてもそのたまり水の表面の放射線値は計測器の上限値1000ミリシーベルトを振り切ってしまっていることに違いはないという汚染レベルにあります(計測員はあまりのレベルに再計測できずに退避)。

26日の時点で、原子力資料情報室(http://www.cnic.jp/)のストリーム会見で、元格納容器設計者(田中三彦氏、後藤政志氏)が原発事故の初期から何が起きていたと考えられるかを技術的観点から解説しています。
http://www.ustream.tv/channel/cnic-news

日本の原子力安全委員会は20年間準備してきた「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム・SPEEDI」を放射能放出が起きた12日から二週間たっても本格稼働させた結果を発表しておりません。しかし、海外では推定値と断りながらも同様のシステムの算出結果を公開しています。
ドイツ気象庁の発表した放射能雲の到達予測範囲元図のURL(26日付)
http://www.dwd.de/bvbw/generator/DWDWWW/Content/Oeffentlichkeit/KU/KUPK/Homepage/Aktuelles/Sonderbericht__Bild5,templateId=poster,property=poster.gif
米エネルギー省のSPEEDI解析結果(25日付)
http://energy.gov/news/10194.htm

NHKの姿勢が(たぶん水野解説委員を中心にして)変化してきました(山崎記者は相変わらず頓珍漢な「安心」発言が見えます)。つまり東電と心中するしかないという民放の姿勢から、「スポンサーシップから自由な公共放送」(これも現場記者は接待漬けにされて洗脳されているでしょうが)として庶民側に立とうという姿勢が出てくる可能性はあります。ただし、数日前にも水野解説委員は番組中で政府の情報の出し方を批判し、しかし翌日の番組では非常に暗い顔で、政府批判は控えていたといわれていて、つまりは上層部から圧力がかかっているのでしょう。

西ドイツの州議会選挙で国会与党CDUは38%で第一党であるが、なんと緑の党が29%で第二党、社民党が24%で第三党、緑と社民で連立合意できれば緑の州首相が誕生するという。
福島の絶望はドイツで希望となって人類は存続していけるのでしょうか。

2011年3月29日火曜日

卒園式にて

3月26日、2歳の娘の通っている保育園で卒園式がありました。園庭には光があふれていて、強めの風が時おり吹いていました。年長さんから2歳児のクラスまで、リズム体操が披露されて、卒園児たちは力一杯跳び箱に挑戦していて、思わず笑ってしまう場面も多くありました。
しかし、明るい園庭が眼に入ってくると、その大気中には放射性核種のチリが舞っていることを思いだし、うつむいてしまうのでした。
もうわたしたちは震災に続く福島第一原発事故の前の世界とは違う時代を生きています。

思えば何度もこのような人災を起こさないような社会にする機会はあった。1986年のチェルノブイリ、1979年のスリーマイル。しかしわたし(たち)は失敗してきてしまった。

もっと射程を長くとって、1968~69年、1945年、1918年.....。時々、それぞれの機会で違った社会ができた後の人類の姿を想像する事があります。
しかし、ともかく現存する社会はこのような社会であって、それを前提にして生きていくしかないのですよね。それに、世界大の機会だけでなく、諸個人の直面するあらゆる機会で悪戦苦闘した先人たちの努力があったからこそ、まだ滅亡にいたっていなかった、といえるのかも知れません。

中学高校から愛読してきた安部公房経由で知った魯迅の「絶望の虚妄なるは希望の虚妄なるに相同じい」という言葉を思い出します。
いずれにしろ、これから「生きるための戦略・戦術」を個人・家族・任意集団・地域・社会……で共同して練っていくしかないではありませんか。あらゆる知恵を出し合って。「いま・ここ」からしかはじまらないのですから。