2011年5月21日土曜日

内部被曝はどのような被害をもたらすか

内部被曝の危険性について、矢ヶ崎克馬琉球大名誉教授が訴えるビデオニュースの無料放送です。
「依然として最大の脅威は内部被曝のリスク」
物理学者として、アルファ線、ベータ線を発する核種を体内に取り込んだ場合に何が起こるのかをわかりやすく解説してくれています。矢ヶ崎氏は福島県内で市民団体の要請で内部被曝の危険性について講演し、線量調査も実施したということです。

欧州放射線リスク委員会(ECRR)の2010年報告書を「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」が緊急に翻訳しました。大部なものをPDFで公開してくれています(これから勉強しないと)。
欧州放射線リスク委員会 2010年勧告『放射線に安全な線量はない』PDFにとぶ目次ページ
ECRR(ヨーロッパ放射線リスク委員会でも検索でヒット)は2003年勧告(これも「美浜の会」が翻訳、出版)で国際放射線防護委員会(ICRP)の基準を内部被曝の影響を過小評価していると批判し、チェルノブイリ事故の被害についても実際にはICRPの見解より深刻な被害があったと報告しました。
「本委員会は、現在のガンに関する疫学調査は、1959 年から1963 年にかけて世界中で行われた大気圏内核実験による被曝と、核燃料サイクル施設の稼働がもたらした、さらに大量の放射能放出が、ガンや他の健康被害の明確な増加という結果を与えているとの結論に達した」「本委員会ECRR の新モデルと、ICRP のモデル双方を用いて、1945 年以降の原子力事業が引き起こした全ての死者を計算した。国連が発表した1989 年までの人口に対する被曝線量を元にICRP モデルで計算すると、原子力のためにガンで死亡した人間は117 万6300 人となる。一方、本委員会のモデルで計算すると、6160 万の人々がガンで死亡しており、また子ども160 万人、胎児190 万人が死亡していると予測される」「本委員会は以下を勧告する。公衆の構成員の被曝限度を0.1 mSv 以下に引き下げること。原子力産業の労働者の被曝限度を5 mSv に引き下げること。これは原子力発電所や再処理工場の運転の規模を著しく縮小させるものであるが、現在では、あらゆる評価において人類の健康が蝕まれていることが判明しており、原子力エネルギーは犠牲が大きすぎるエネルギー生産の手段であるという本委員会の見解を反映したものである」(2003年勧告「結論」部分より)

ECRR勧告作成のメンバーで、唯一の日本人である沢田昭二氏(名古屋大学名誉教授)の最新論文がカナダにある「ピース・フィロソフィー・センター」の日本語サイトに載っています。
「放射線による内部被曝——福島原発事故に関連して——」
同サイトはとても充実しています。じっくり見なくては。
こんな記事がありました。
「NHKに一瞬映った「WSPEEDI」3月15日被ばく予測マップ」
「公表していない図」がNHKで画像となっているのは、内部リークということなのでしょうか。数値は確かに高めに出る(というか避難勧告をするためには安全策で高めに出ても有効)だろうし、「正確ではない」でしょう。だけどこの図を見ると「どういう方向に逃げるのがリスクが高い」かは判断できる。だが安全委員会はこの図の赤い孤の部分(北茨城・水戸・野田・太田・前橋に至る人口密集地)の住民が「パニック」になるのを怖れたのだと思う(自分たちのレベルで国民を判断するなよ、といいたい。国家公務員や学者と違ってみんな地域生活があって逃げたくともそうそう逃げられないのだ)。3月21、22日の雨の時点での予測マップを原子力安全委員会は「持っているが公表していない」のだと強く推測されます。

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