2011年6月14日火曜日

事故の実態と被害の把握・対策を

このところ毎日のように明らかにされる東電の「後出し情報」、それを追認しかできない原子力安全保安院の調査能力の欠如(責任の放棄)、安全委員会の「SPEEDI画像実はもう数百枚ありました」、怒りを通り越して脱力してしまうわけです。ともかく後出し情報から類推される11日からの事故の実態はまさしく戦慄すべきものであった(今頃こんなことを「命じる」のか、今まで何してたのかとあきれる記事)。
原発事故直後からの操作記録、東電に報告命じる
水素爆発の映像を見てこれはまずいと子どもたちの避難を考えたが、官房長官の「圧力容器は健全です」「ただちに健康に影響を与えるものではないレベル」という言葉を信じてしまった自分がなさけない。東電はまだ認めていない(つまり私の想像だ)が、11日地震直後に各炉で配管の損傷が起こり、冷却材喪失と炉心溶融は進行しはじめ、津波による電源喪失はこの事態を決定的にしたのではなかったか。結果として東電が「発見」したように初日から「圧力容器の健全性」など保たれてはいなかった。経団連の会長とかいう頭の中がブラックボックスな輩が「地震に耐えた」と褒め称えたが、耐えてはいなかったのです。特に15日から吹き出した高濃度放射能プルームは福島各地を襲い、21日22日には金町・東葛地域・茨城県南の上空に漂ってきて、雨によってたたき落とされ「ホットスポット」をつくった。
この放射能放出と被害は、しかし事前(90年代)にその危険性があると警告されて対策まで示されていたというのに、東電は何もしていなかったというのです。
「産経ニュース」
「東電の不作為は犯罪的」IAEA元事務次長一問一答

IAEA元事務次長「防止策、東電20年間放置 人災だ」

ここでもわずかな金(毎年原子力産業のために使われる金額に比べれば)をけちって被害を拡大させた「官僚」機構の弊害が明らかになる。

内閣府の下におかれた「事故調査委員会」が果たしてしっかりした調査ができるのかとまた疑ってしまう。原発を推進してきた部分が主流であるエリート官僚たちが事務局をつとめる委員会に、官僚組織や巨大独占企業の内部に踏み込んだ調査ができるのでしょうか。
IAEA閣僚会議に対する日本政府の「原発事故報告書」も、津波の巨大さを強調して、事故が起きた時にどうするか全く想定していなかった官僚組織のいいかげんさが隠されている。口先では安全といいつつ、実は事故のリスクは高かったというのは責任官庁は知っていたはずで、だから国民に隠れて十分に準備していなければならなかったのに、本当に何もしていなかったのですね。その結果現場で被曝労働を強いられるのは「協力会社作業員」であり、現場の東電職員であり、さらに核施設・核燃料輸送車事故に備えていた消防レスキュー隊や核戦争・化学戦に備えていた中央特殊武器防護隊などのみなさんになる。
65年前に若者たちに死をおしつけておいて裏で戦時物資を横領し、戦後のうのうと生き延びた中央の軍・政治官僚、政治家連中と同じことを、「地下原発構想」だの「世界一安全な原発」などという姑息な幻想をふりまいて続けようとする連中がいる。もう核燃サイクルの不可能性、すでに溜まりすぎた使用済み核燃料など高レベル廃棄物の管理だけでも「数万年後の子孫」にまでつけを押しつけているというのに(ウランが枯渇した後、自然エネルギーで作った電気で冷却しつづけなければならない)。

そして、数万年後の子孫たちの親になるべき「今の子どもたち」のために緊急に必要なのは、少なくとも「年間1ミリシーベルト」を超える外部線量被曝が確実な地帯での除洗作業・降り積もった核種の特定と内部被曝の実態調査でしょう。一地方自治体で無理なら広域自治体連合でもいいから、ホールボディカウンターを用意して、疫学調査を開始すべきだと思います。数十年後を見据えて。何はともあれ福島の子どもたち、そして東葛の子どもたちと。
福島市は、全生徒・児童に積算線量計バッジを配布して月一回回収して統計をとることにしたそうです。東京新聞記事
「子ども3万4千人に線量計配布 保護者不安で福島市」

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