2011年4月12日火曜日

再臨界の可能性が高い

「ビデオニュース・ドットコム」の無料放送。京大原子炉実験所・小出裕章助教が福島第一原発1号機における「再臨界」状態の可能性が高いと解説しています。
http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/001814.php
根拠は(1)8日に公表された数値で1号機の格納容器内の放射線量が100Sv/hに急激に高まったこと(2)やはり公表された核種のなかにクロル38が大量にあり、これは海水注入によるNaClの塩素が中性子を吸収してできる核種であること、つまり燃料棒のペレットが溶融した部分が一定程度たまり、再臨界した可能性があるということです。99年東海村JCOの臨界事故でも見られたように、容器の底にたまった燃料物質は臨界して膨張して臨界状態ではなくなり、また収縮して再臨界する、という課程を繰り返すということです。その度に大量の熱と放射性物質が再放出されます。
圧力容器と格納容器にはテレビなどで解説に使われる簡素化された絵では想像できない多数の配管類が貫通しています。地震・容器内圧力の上昇・海水注入などによって部材が劣化、金属疲労、腐食などが起きやすくなっています。
2号機ではすでに格納容器の密閉性も損なわれ、圧力容器由来の大量の放射能を含む冷却水が地下に漏れ出ていることが明らかになっています。
燃料棒のペレットが溶融して圧力容器の底にたまり、再臨界を起こして熱によって圧力容器のステンレスを溶かして格納容器に噴出し、水と反応して水蒸気爆発を起こすというのが「最悪の事態」ですが、その可能性は残念ながら否定できないという状況でしょう。

「JCO臨界事故総合評価会議」による報告(原子力資料情報室などによる)

(4/26日追記)4月20日になって、東電は1号機タービン建屋などから採取した水の核種分析の結果を訂正して、クロル38は検出限界以下であった、と公表しました。原因はプログラムミスだということです(リンク内に詳しいPDF文書あり)。
小出助教はこのニュースに「ホッとしました。再臨界はなかったということになる」とコメント。しかし「スペクトル分析の生データを専門家が見れば間違えるようなものではないはずだが」とも。

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