2011年4月5日火曜日

ドイツ気象庁の予測図

本ブログでも紹介したドイツ気象庁の予測図は、まわりでも多くの人がチェックしているようです。
日本語訳をしている方のブログがありましたので紹介します。
http://www.witheyesclosed.net/post/4169481471/dwd0329
私の場合ドイツ語には自信がないので「推定値ですよ」と断っただけでしたが、訳された山本さんによれば、「一般的な粒子の拡散の度合い」を示すものであって、「現実の放射性物質の濃度を現すものではない」ということです。なぜなら、「放出源のデータが明らかではないから」。
日本の「SPEEDI」は、原子力安全委員会の説明によれば「地形データも考慮に入れた精巧なもの」だそうですが、やはり「放出源のデータが明らかでない」ために放射能雲の拡散予測も降雨による高濃度汚染地帯の予測も今にいたるまで発表されておりません。23日にようやく斑目委員長らが会見して「ヨウ素放出量を推定して保守的な値で試算」という図(PDF)を発表しましたが、すでに公表されている行政のデータを追認するものでしかありませんでした。一体20年間なんのために巨額の予算を使ってきたのでしょうか。
12日以降、何度も水素爆発や「ベント」が繰り返されましたが、そのたびに放射能雲が現実に漂っていたわけです。なぜか「予測システムの結果」は公表されなかった。
「放出源の正確なデータが入力できない」というのは、素人の私が考えても事故が起きたら当たり前だと思うのです。少なくとも水素爆発が起きたのだから、燃料棒の一部は溶け出している可能性が高く、ベントをして逃したガスの量を推定し、ガス化しやすいヨウ素131とセシウム137については最大値と最小値を予測するくらいのことはやるべきでしょう。そもそも「緊急時迅速予測システム」だったのではなかったか。
環境中に放出された放射能は稼働中原子炉からだけではなく、使用済み核燃料プールのものも加わっていて、それらは今でも環境中に漏れ続けています。そろそろ「専門家」の科学者としての良心を発揮してもらいたい、と思うのですが。

アメリカやフランス、IAEAはじめ世界の利害当事者企業・官僚・技術者たちが「アドバイス」に駆けつけています。米軍は事故当初から高々度無人偵察機「グローバルホーク」を原発上空に飛ばし、詳細な画像データを日本政府に提供していたといわれます。ところが「詳細な画像」は東電が外部の民間会社に委託した無人機のものしか発表されていない。
自衛隊も陸自がヘリ型低空用無人偵察機を保有していて、イラク派遣部隊でも周辺偵察に使っていたはずなのですが。
あるいはマスメディアでは、1号機と3号機の水素爆発までLIVE映像を流していた日テレのカメラはどこに行ってしまったのでしょうか……。
危機的事態への対応のつたなさ、というのが露呈していますよね。菅民主党政権は経験値が低いうえに官僚層の抵抗を受けて白旗状態だったわけですから。しかし一方で自公政権だったら良かったとは私にはとても思えません。むしろ既得権益官僚層と一体化した政治家たちとマスメディアのタッグ体制が続いているわけですから、別の形で危機はより一層深刻化していたのではないかと推測します。

(2011/06/01追記)
ライブカメラですが、【TBSのもの(遠景)】に続いて、【東電のもの(1号機北西事務本館近くから・30秒遅れ)】が見られるようになりました。

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