2011年4月26日火曜日

東電・責任の取り方

東電についてまわりでよく話されるのが「お詫び広告なんかに使う金があるならその金を賠償資金にしろよ」という事。そもそも地域独占企業がなんでマスコミの大スポンサーになる必要があったのか。「民間企業」が「商品(東電では電力)」をつくるのになぜ巨額の交付金(税金)を補助されているのか。
東電が作ったという賠償スキームというのが発表されました。なんと基本的に東電がその利益から賠償していくという構想のため、電力料金が大幅に値上げされるというものです。こんなに国民や被災者をバカにした話しはないでしょう。
経済ジャーナリストの分析(ビデオニュースの無料コメンタリ)

東電スキームと復興支援の在り方について(環境エネルギー政策研究所の定例記者会見)

自民党内で反原発(反核燃料サイクル)を訴える河野太郎議員の東電スキム批判ブログ記事

電気料金は設備投資の金額にプラスして「適正利益(2004年までは8%、その後3%)」を保障される体系であるだけでなく、さらに立地対策に税金を投入して経費を国民に負担させていた。つまり企業が工場を新設してもなんの努力もなしに無条件に価格に転嫁できるうえに、工場の立地は国に準備してもらっていた、ということになります。地域独占なので競争相手がいないから値上げされても国民は払う以外に選択肢はなかった。その結果電力料金はアメリカの数倍になっている。推進派の研究所資料でも割高はあきらか(国際比較論文・PDF)
このような特権保有企業は「民間企業」とはいわないでしょう。こういう企業の風土がどうなるのか。しかも都合の悪い時は「民間企業」になって企業秘密とやらで情報を隠してきた。
東電は純資産2兆5千億円を保有し、さらに公益法人とやらを電力会社持ち合いでいくつもつくって利益を配分、留保しています(もちろんそこは経産省など官僚の天下り先)。電力料金値上げや税金を投入する前にこれらをまず吐き出させるべきでしょう。
一方で、広告費・地域啓蒙費・電通による広告支配、マスコミの記者クラブ体制。これらはやはり戦中に確立された総動員体制を出発点としているでしょう。「銃後の小国民」を作り出すことはつまり「非国民」を作り出すことであった。政府(各省官僚と陸軍参謀本部・海軍軍令部)に批判的な声(議員・言論人・記者・活動家・批判的宗教者・果ては一般国民まで)は徹底的にメディア・町中から消し去られてしまった。その結果公共の場での活発な討論が消し去られ、各省庁、軍内部でのまともな戦略論議すら不可能になり、1945年の敗戦にいたってしまう。今回の事故は基本的にまったく同じ構造が作り出したものだと思います。
巨大な利権(電気料金と税金)をめぐる原発推進体制で利益を得てきた連中は事故にもかかわらず、あるいはそのどさくさにまぎれて利権を温存しようとする。これは終戦時に陸海軍・国家官僚・政治家たちが大日本帝国中の資産・戦時物資を私物化して隠匿し、「戦後」に備えた歴史に明らかなように、その立場になった連中の習性なのでしょう。ソ連解体時の共産党・国家官僚たち、国営企業経営陣、政治家たちの動きを見ても共通している。

電気事業連合会・会長交代(清水東電社長から八木関電社長に)
相変わらず推進モーメント(暴走?)を保つ「ご挨拶」(4月15日付)

福島県内小中学校の放射能汚染

先に福島県内小中学校で保護者たちが自主的に空間線量を測る運動について紹介しました(「飯舘村のみなさん」)が、その結果県が全小中学校、幼稚園・保育園、公園などの空間放射線量を測定して結果を公表しました。
福島県内小中学校等の空間線量http://www.pref.fukushima.jp/j/schoolmonitamatome.pdf

4月19日、文科省は福島県教育委員会に県内小中学校、保育園などで、子どもたちの校庭での活動について「年間20ミリシーベルト」という被曝「暫定」基準値を通達しました。
文科省文書http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1305173.htm

これは国際放射線防護委員会(ICRP)の一般人の基準値(1~20mSv/year、内部被曝に関して考慮不足といわれている)の上限数値です。いままで1ミリシーベルトとしていたのに、なぜ20倍なのでしょうか? ICRPは緊急時20~100ミリとしていますが、それは退避中とかであって、長期間日常生活を送ることを想定していないはずです。ましてチェルノブイリの経験で明らかなように、子どもは大人より被曝に対する感受性が高いのだから、保護基準はより厳しくすべきはずです。
福島県内の小中学校などでは、現行法で「放射線管理区域」となる0.6マイクロシーベルト/時以上の空間線量になる所が75%以上になってしまっています。ニュースでは、福島市内の公園で「遊びを1時間以内にするように」という県の掲示板が取り付けられる様子が報道されました。20ミリシーベルトという「基準」(文科省もさすがに夏休み明けまでの暫定値としている)は、官僚による「何もしないため」のつじつま合わせだけではないか、という疑問が出されています。
撤回を要求する主張http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=1093
文科省との交渉報告http:/blog.canpan.info/foejapan/daily/201104/21

経産省ではなく、子どもの権利を擁護すべき文科省がなぜ? と思ったら、旧科学技術庁という推進派の拠点のひとつが文科省内にありました。さらに文科省は小学生に「わくわく原子力ランド」、中学生に「チャレンジ! 原子力ワールド」という副読本を全国で配布する推進団体だったという怖いお話しなのでした。

2011年4月20日水曜日

官僚主導国家の顛末

前福島県知事・佐藤栄佐久氏が4月18日に外国特派員協会で行なった記者会見の様子です。
(逐次英訳つき)http://www.videonews.com/press-club/0804/001839.php

以前当ブログでも紹介しましたが、佐藤前知事は国策としてのプルサーマル燃料導入、大店法規制緩和、猪苗代環境保全など多くの点で政府(役人)と対立する存在になっていました。そしてマスコミの収賄スキャンダルと特捜検察による逮捕の結果、知事職を追われ政治的に抹殺されたわけです。
佐藤氏は今回の事故は(1)石橋克彦教授が地震と原発事故の複合を予見して「原発震災」を警告していたにもかかわらず、原発の震災対応基準をしっかりしたものにしなかった点、また(2)当の福島第一原発2号機で電源喪失事故を2010年6月17日に起こしていたにもかかわらず(非常用ポンプがすぐに作動せず原子炉水位が2mも低下)電源の複合化などの対策をとっていなかった点という二点だけでも明白な人災であった、と述べています。
そして、現在の日本国家の体制は官僚主導の「チェルノブイリを起こしたソ連に似た全体主義国家である」とはっきり問題を指摘しています。そして今こそ民主主義をしっかりと日本で確立しなければならない、と述べます。別項で述べますように、細かい点はともかくこの問題意識は正しいのではないでしょうか。

官僚主導体制の重要な要素であるマスコミの官僚体質(宣伝費注入による御用報道)については、フリージャーナリストの上杉隆氏の会見が明らかにしています(なんと鳩山由紀夫前首相主催の4月6日勉強会での講演の様子)。
(YOUTUBE動画6分割されています)http://www.youtube.com/watch?v=O0CRuajD6C8&feature=related

上杉氏は発言に正確さを欠く時があってすべて信用するのもなんですが、独特のユーモアもあって大筋を把握するにはとてもわかりやすい講演です。

2011年4月19日火曜日

自然エネルギーの可能性

NPO「環境エネルギー政策研究所(ISEP)」の記者会見ストリーミング番組です。これから週一回で放送予定ですが、第一回は福島第一原発事故関係で東電の発表したロードマップ、ヨーロッパでの識者の反応など、中長期的な自然エネルギーの推進と復興との関係などについて飯田哲也所長が述べています。
第一回放送http://www.isep.or.jp/isep-ch.html

もう一つ、4月17日にロフトで行なわれた河野太郎議員と飯田哲也氏のトークライブがユーストで流れています。ちょっと長くなりますが、「計画停電」の決定過程、夏のピークの対策など、裏話も含めておもしろい内容になっています。旧科技庁+原子力安全員会対経産省保安院+東電という「原子力村」内での対抗関係、SPEEDIデータの公開の顛末、官邸の動き方などなど、笑ってしまう話しがでてきます。もちろん現状を考えると涙目になりながらですけど。

前半http://www.ustream.tv/recorded/14090027
後半http://www.ustream.tv/recorded/14091157

後半は日本のエネルギー政策転換、核燃料「サイクル」の闇とその破綻、再処理構想のために蓄えられている2兆数千億円をただちに賠償に当てろ、とかやや中長期的な前向きの議論もあって参考になります。
飯田哲也氏はある理想を持ちつつ、しかしその実現のためにステップを踏んで合意形成していくという日本人(特に「活動家」)に見られなかった粘り強いタイプの人物だと思います。河野太郎氏との関係もそのひとつでしょう。
私も遅ればせながらISEPの個人会員になりました。「計画停電」を防ぐための提案、震災復興での自然エネルギー活用提案など早い対応が見られます。
http://www.isep.or.jp/fukunp110311.html
これから地域で自然エネルギー普及の活動を始めていこうと思います。ひとりじゃ何もできませんが、みなさんと一緒におもしろい地域・子どもたちが笑って暮らしていける地域をつくっていこうじゃありませんか。

2011年4月15日金曜日

飯舘村のみなさん

3月15日の2号機圧力抑制室破裂による放射能雲の放出、当日の風向きと降雨によって高濃度汚染にさらされた飯舘村における今中哲二(京大原子炉実験所)助教らによる(村役場と一緒に行なった)放射能自主測定の報告、飯舘村のみなさんと20年間村づくりをしてきた糸長浩司(日本大学生物資源科学部)教授ら「飯舘村後方支援チーム」の活動について、福島県内小学校での放射能自主測定活動と行政への要請などについての4月13日衆議院院内集会での報告会の様子(ストリーミング放送)です。

原発震災から子どもたちを守れ!~専門家・市民による独立放射能汚染調査報告と要請~

前半に県内小学校での放射能自主測定活動、後半が飯舘村における汚染状況と「後方支援チーム」の活動、復興支援プランなどについての説明になります。特に20年にわたって飯舘村とともに村づくりを伴走してきて、エネルギー自給も部分的に実現し、他の地域がライフラインが途絶えた時も飯舘村の老人ホームなどは基礎的な部分では困らなかったことなどには感動させられます。
しかし、原発事故はそのような村づくりを「目に見えぬ汚染」によって根底から破壊してしまったわけです。村の七割が里山で、キノコ類を含めて豊かな生態系が残っているのですが、土壌は汚染され、セシウム137は今後百年間は影響しつづけるでしょう。
今中哲二氏が「最後に個人的な見解」として述べています。「放射能の影響というのは急性と晩発性の二種類あるというのは学者ならみんな知っている。ところがテレビに出ている専門家と称する連中は急性の影響しかいわずにただちに健康に影響はないと言う。どうしたことかと耳を疑った。晩発性の影響の度合いについてはもちろん学問的な論争はありうるが、そもそも全くないかのようにしているのは故意か忘れたのかどういうことなのだろうか」と。

飯舘村周辺放射能汚染調査チーム暫定報告(PDF)

飯舘村までいな暮らし普及センター
までいライフ宣言
「までい」という言葉は「じっくり」「心をこめて」という意味だそうです。飯舘村と飯舘村企業組合の公式サイトです。こういう営みを押しつぶした力、それを推進してきた連中こそ「合法暴力装置」というのでしょう。

2011年4月12日火曜日

東北道にて

4月9日から10日にかけて、関係しているNPO団体の支援物資を仙台に運ぶ4トン車の運転手をしてきました。本当は現地で作業の手伝いをしながらいろいろな情報を得たかったのですが、到着が夜だったことと、トラックを早く返す必要があったために今回はできませんでした。
当日の東北道は時折小雨が降る状態。地震の影響によって道路が波打っている所が多く、運転には気を使いました。被災地復興支援については、今後とも続きますので別に報告させていただきます。
今回は東北道上の停車地点での空間線量について報告します(計器は「はかるくんII」、単位はμSv/h)。
2011/04/09 14:03 佐野SA       0.100
2011/04/09 16:30 安達太良SA    0.797
2011/04/09 17:47 菅生PA       0.089
2011/04/09 19:30 仙台太白区     0.098
2011/04/09 21:00 国見PA       1.217
福島第一原発に直線距離では近い安達太良SAが最も高いと思っていましたが、最も高かったのは帰り道での国見PAでした。この数値で1年間暮らすと積算で8.76ミリシーベルトになり、現在の日本政府のいう「一般人の基準」1ミリシーベルトを大きく超えます。3月15日早朝の2号機圧力抑制室爆発後の放射能雲、その後の雨による北西部高濃度汚染(飯舘村など)が実感されました。国見PAを出てしばらくすると福島市のおびただしい街明かりが見えてきました。
未だに御用学者「専門家」のなかには安全だと言う輩がいます。「ただちに健康に影響しない」というのは「即死しない」と読み替えるというのが冗談ではなくなっている気がします。
歴史的に被害者(国民)の立場にたったことがない「原子力安全委員会」が「積算線量を勘案して」「計画避難地域」という概念を出してきました。公表を止められた気象庁のデータや内部では試算しているであろうSPEEDIのデータを見ればもっと早く決断できたでしょうに。何ヶ月後か、あるいは何年後か、彼らは「内部被曝試算値」を公表するのでしょうか。

4月10日原子力安全委員会速記録(PDF)
SPEEDIによる外部被曝積算線量(3/12~4/5)(PDF)

再臨界の可能性が高い

「ビデオニュース・ドットコム」の無料放送。京大原子炉実験所・小出裕章助教が福島第一原発1号機における「再臨界」状態の可能性が高いと解説しています。
http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/001814.php
根拠は(1)8日に公表された数値で1号機の格納容器内の放射線量が100Sv/hに急激に高まったこと(2)やはり公表された核種のなかにクロル38が大量にあり、これは海水注入によるNaClの塩素が中性子を吸収してできる核種であること、つまり燃料棒のペレットが溶融した部分が一定程度たまり、再臨界した可能性があるということです。99年東海村JCOの臨界事故でも見られたように、容器の底にたまった燃料物質は臨界して膨張して臨界状態ではなくなり、また収縮して再臨界する、という課程を繰り返すということです。その度に大量の熱と放射性物質が再放出されます。
圧力容器と格納容器にはテレビなどで解説に使われる簡素化された絵では想像できない多数の配管類が貫通しています。地震・容器内圧力の上昇・海水注入などによって部材が劣化、金属疲労、腐食などが起きやすくなっています。
2号機ではすでに格納容器の密閉性も損なわれ、圧力容器由来の大量の放射能を含む冷却水が地下に漏れ出ていることが明らかになっています。
燃料棒のペレットが溶融して圧力容器の底にたまり、再臨界を起こして熱によって圧力容器のステンレスを溶かして格納容器に噴出し、水と反応して水蒸気爆発を起こすというのが「最悪の事態」ですが、その可能性は残念ながら否定できないという状況でしょう。

「JCO臨界事故総合評価会議」による報告(原子力資料情報室などによる)

(4/26日追記)4月20日になって、東電は1号機タービン建屋などから採取した水の核種分析の結果を訂正して、クロル38は検出限界以下であった、と公表しました。原因はプログラムミスだということです(リンク内に詳しいPDF文書あり)。
小出助教はこのニュースに「ホッとしました。再臨界はなかったということになる」とコメント。しかし「スペクトル分析の生データを専門家が見れば間違えるようなものではないはずだが」とも。

2011年4月5日火曜日

ソフトバンクの孫正義、田中三彦・後藤政志三氏のストリーミング番組

孫氏はまともな感覚を持った人ですね。ベンチャーでたたき上げの人だからこういう感覚があるんでしょう。今まであまり関心がなかったんですが。まあiPhone奪取以後のApple利用はさすがだなと思いましたけど。
原発を自分が許容していたことを素直に反省して方向修正ができる。これから経営者感覚を持って自然エネルギーの可能性に投資し、ビジネスモデルを精力的に作り上げようとするでしょう。
対して田原総一郎はなんかもうろくしてますね。自然エネルギーに関してまったく勉強不足。あるいはかつての数十年前の取材経験しか参照できないのではないか。なんでいるのかわかりません。番組は長時間ですが、特に田原氏がいなくなってからは今後についての話しもあり、元気が出てきます。
http://www.ustream.tv/recorded/13747656
17分くらいまでは大震災被災地のレポート(孫氏も被災地を訪ねている)、以後に福島第一原発事故に関する内容になります。

ドイツ気象庁の予測図

本ブログでも紹介したドイツ気象庁の予測図は、まわりでも多くの人がチェックしているようです。
日本語訳をしている方のブログがありましたので紹介します。
http://www.witheyesclosed.net/post/4169481471/dwd0329
私の場合ドイツ語には自信がないので「推定値ですよ」と断っただけでしたが、訳された山本さんによれば、「一般的な粒子の拡散の度合い」を示すものであって、「現実の放射性物質の濃度を現すものではない」ということです。なぜなら、「放出源のデータが明らかではないから」。
日本の「SPEEDI」は、原子力安全委員会の説明によれば「地形データも考慮に入れた精巧なもの」だそうですが、やはり「放出源のデータが明らかでない」ために放射能雲の拡散予測も降雨による高濃度汚染地帯の予測も今にいたるまで発表されておりません。23日にようやく斑目委員長らが会見して「ヨウ素放出量を推定して保守的な値で試算」という図(PDF)を発表しましたが、すでに公表されている行政のデータを追認するものでしかありませんでした。一体20年間なんのために巨額の予算を使ってきたのでしょうか。
12日以降、何度も水素爆発や「ベント」が繰り返されましたが、そのたびに放射能雲が現実に漂っていたわけです。なぜか「予測システムの結果」は公表されなかった。
「放出源の正確なデータが入力できない」というのは、素人の私が考えても事故が起きたら当たり前だと思うのです。少なくとも水素爆発が起きたのだから、燃料棒の一部は溶け出している可能性が高く、ベントをして逃したガスの量を推定し、ガス化しやすいヨウ素131とセシウム137については最大値と最小値を予測するくらいのことはやるべきでしょう。そもそも「緊急時迅速予測システム」だったのではなかったか。
環境中に放出された放射能は稼働中原子炉からだけではなく、使用済み核燃料プールのものも加わっていて、それらは今でも環境中に漏れ続けています。そろそろ「専門家」の科学者としての良心を発揮してもらいたい、と思うのですが。

アメリカやフランス、IAEAはじめ世界の利害当事者企業・官僚・技術者たちが「アドバイス」に駆けつけています。米軍は事故当初から高々度無人偵察機「グローバルホーク」を原発上空に飛ばし、詳細な画像データを日本政府に提供していたといわれます。ところが「詳細な画像」は東電が外部の民間会社に委託した無人機のものしか発表されていない。
自衛隊も陸自がヘリ型低空用無人偵察機を保有していて、イラク派遣部隊でも周辺偵察に使っていたはずなのですが。
あるいはマスメディアでは、1号機と3号機の水素爆発までLIVE映像を流していた日テレのカメラはどこに行ってしまったのでしょうか……。
危機的事態への対応のつたなさ、というのが露呈していますよね。菅民主党政権は経験値が低いうえに官僚層の抵抗を受けて白旗状態だったわけですから。しかし一方で自公政権だったら良かったとは私にはとても思えません。むしろ既得権益官僚層と一体化した政治家たちとマスメディアのタッグ体制が続いているわけですから、別の形で危機はより一層深刻化していたのではないかと推測します。

(2011/06/01追記)
ライブカメラですが、【TBSのもの(遠景)】に続いて、【東電のもの(1号機北西事務本館近くから・30秒遅れ)】が見られるようになりました。

2011年4月4日月曜日

「作業員」のみなさん

自衛隊や消防の隊員のみなさんは被曝しながら作業をされています。もちろん東電の本社社員のみなさんもそうです。実際のプラント設計をして応援派遣された東芝や日立の社員の方々もそうです。なんとかできるだけ被曝を少なくしていただきたいと願います。
しかし、今回だけでなく、数十年の原発運転の陰で、下請け孫請け(七次請けなんてことも聞きます)企業の「協力企業作業員」と呼ばれる人々は、もっとも被曝線量の多いところで実際にぞうきんをもって漏れ出た水を拭き取ったり故障箇所の修理を担ってきました。
工業高校を卒業して下請け企業に就職し、すぐに浜岡原発に派遣されて定期点検中の格納容器の底でいろいろな作業に8年間たずさわり、「管理手帳」上は50数ミリシーベルト(しか)浴びたことになっていない嶋橋伸之さんは、「慢性骨髄性白血病」となり、病院で一年の闘病のかいもなく29歳で死亡されました。
伸之さんのお母様が原子力資料情報室の会見で伸之さんの被曝と企業の対応について語っておられます。
http://www.ustream.tv/recorded/13718448
今回の事故は、大量の放射能を環境中に放出しています。2号機に関しては圧力容器と格納容器が破損して、燃料棒からの核種が直接漏れ出しているようです。伸之さんが浴びた放射線以上の汚染環境が特に水にとけ込んで敷地内に漏れ、地下水、海水を汚染し続けている。
作業員の方々の心身の疲労を考えると極限状態という言葉を思い浮かべずにはいられません。報道では、東電側は線量計すら全員につけさせずに作業させていたことが明らかになりました。あらためて、東電本社・保安院、電事連など、官民の政策作成・指示・命令系統を担ってきた官僚たち、人工出しで儲けてきた企業経営者たちに怒りをおぼえます。
冷温停止から外部環境への放射能漏れを防ぐにはこれから数ヶ月から年単位での長い放射能との戦いになるでしょう。その間、第二第三の伸之さんがでないことを祈るしかありません。

劣悪な現場作業についての報告「野宿労働者の原発被曝労働の実態」

全国で稼働中の原発、特に「統計上いつ来てもおかしくない」東海地震の震央に位置する浜岡原発をできるだけ早く止めたいものです。停止しても、各原発内には溜まり続けた燃料棒プールがあり、むつには全国から燃料棒が集まっているのですから。思考停止せず、一刻も早く震災対策を見直すべきではないでしょうか。

むつ「中間貯蔵施設」について(東電パンフ・PDFファイル)
むつ「中間貯蔵施設」について(原子力資料情報室ニュース)
浜岡原発停止署名のご紹介